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〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1

教授挨拶CONCEPT

脳神経外科 主任教授 隈部俊宏

この度、平成25年4月1日付けで北里大学医学部脳神経外科学の主任教授を拝命致しましたので、この場をお借りしてご挨拶を申し上げます。
 北里大学医学部脳神経外科学教室は、北里大学医学部ならびに北里大学病院開設とともに1970年に開設されました。初代矢田賢三教授、大和田隆助教授指導のもと、新設医科大学として短期間のうちに全国でトップレベルの症例数を誇るまでに急速に成長致しました。1986年4月には救命救急センターが併設され、大和田隆先生が初代センター長として就任され、24時間専任スタッフが救急疾患に対応するシステムが構築されました。脳神経疾患の中ではくも膜下出血・脳内出血や一刻を争う脳梗塞を含む脳血管性障害や、頭部・脊椎外傷を担当することとなりました。一方、比較的時間経過を見る事が可能な脳血管性障害・脳腫瘍・脊椎脊髄末梢神経疾患・小児先天性疾患・機能的脳脊髄疾患等は、一般病棟でじっくりと腰を据えて治療する体制が整いました。両者は緊密に連携し、その結果バランスのとれた脳神経外科医が育成されて参りました。1995年6月より、現北里大学理事長・藤井清孝先生が教授として着任され、さらに教室は発展し現在に至ります。ここまでの教室紹介の文章は藤井先生よりお教え頂きました。

2022年年頭の挨拶

もう2022年になり1ヶ月が過ぎました。少し遅くなりましたが、ご挨拶致します。

 4月から北里大学卒業の上枡先生が我々の仲間になります。学生時代からのお付き合いをしてきた仲で脳神経外科に入局してくれることは嬉しい限りです。今後将来の北里大学脳神経外科を背負って立ってくれることを期待しています。男性の写真のコラージュ

中程度の精度で自動的に生成された説明

 

2016年12月に第34回日本脳腫瘍学会会長をさせて頂きました。その時に私の恩師でありますProf. Mitchel S. Berger先生に”How to Transfer the Surgical Techniques for the Resection of Gliomas to the Next Generation” という内容でご講演賜りました。その講演は次のような極めて印象深いスライドで締め括られました。Berger先生から使用の承諾を得ておりますので、掲載させて頂きます。なお日本語訳は私が行ったものであり、拙いものですので、原文の方がわかりやすいと思います。

<The 10 commandments of the next generation>

1.You must believe in yourself and your ability to alter the life of another person and contribute to our profession of Neurosurgery

2.You must strive to achieve a perfect outcome each and every day you care for another individual

3.You must repeat to yourself every day when you enter the hospital or operating room, “I will give 110% today and stay focused no matter what I encounter”

4.You must leave your personal problems outside of your professional world

5.You must stay physically and mentally fit

6.You must periodically evaluate your results and outcomes to determine if you are still making progress, on the plateau, or deteriorating

7.You must always read and learn from others as well as from your failures and successes

8.You must never compromise in your pursuit of perfection no matter what forces exist to have you accept less than perfection

9.You must always make a decision and never be indecisive.  If you do this you will always make more right than wrong decisions

10.You must never be shaken or discouraged by a bad outcome or complication, but you must always feel the pain of the patient and their family and know that you have changed their lives forever.  Mourn your errors, mourn your losses, but pick yourself up and fight for the next patient’s life

帽子をかぶった男性たち

中程度の精度で自動的に生成された説明

1.あなたは自分自身を信じ、他の人間の人生を変え、我々脳神経外科医としての専門的職業に寄与するであろう自分の可能性を信じなさい。

2.あなたは他の人間のために生きている毎日と全てのことに対して最高の結果が得られるように努力しなさい。

3.あなたは病院や手術室に入る時毎日自分の中で次の言葉を繰り返して唱えなさい。「自分は今日110%の力を注ぎ、自分が関与すること全てに対して集中するぞ」と。


4.あなたは自分の個人的な問題を自分が存在するプロの世界に持ち込まないようにしなさい。

5.あなたは精神的にも肉体的にも健康でいなさい。

6.あなたは自分が未だ発展しているのか、プラトーに達しているのか、悪化しているのかを判断するために、自分が出した結果や成果を時々評価しなさい。

7.あなたは自分の失敗や成功と同様に常に他人から学ぶようにしなさい。

8.あなたは自分が完璧でなくとも許されるような状況であっても、完璧を追求することに妥協してはならない。

9.あなたはぐずぐず決めかねていないで常に決断して生きて行きなさい。もしそれができれば悪い決断よりも必ず良い決断が常にできるはずだ。

10.あなたは悪い結果や合併症によって常に動揺したり失望したりしてはいけない。しかし患者さんやその家族の痛みを常に感じ、自分が彼らの人生を永久に変化させたことを知らなければならない。自分の失敗や失ったものを嘆きなさい。しかし立ち直り、次の患者さんの人生のために闘いなさい。

何回読んでもその時の自分の心と体の状態でまた新しく自分の心に染み渡るものです。
今年一年もう一度この「十戒」を心に留め置いて頑張ってやっていこうと思う次第です。

 北里大学脳神経外科全員の健康と発展を祈って

令和4年2月4日
隈部俊宏

 


2020年4月北里大学医学部脳神経外科・近況報告

毎朝6時にこの北里柴三郎先生の銅像の前を、背筋を正して、「今日も1日無事でありますように」と祈りながら通って教授室に入ります。私は、2013年4月にここ神奈川県相模原市にある北里大学へ異動致しました。適応能力の乏しい人間ですので、「北里大学脳神経外科の隈部です」と言えるようになるまで7年かかりました。
この7年間、半年から一年の短期研修として、東北大学から2人(眞 野 唯・長南雅志)、岩手医科大学から1人(佐藤雄一)、秋田大学から1人(猿田和貴子)、山梨大学から2人(埴原光人・舘岡 逹)、京都第一赤十字病院から1人(亀山昌幸)、山口大学から1人(稲村彰紀)、の脳神経外科専門医取得前3人、取得後5人の先生に当科へ来て頂きました(敬称略)。送り出して下さった先生方、来て頂いた先生方に心より感謝致します。ありがとうございました。本当は来て頂いた先生全員と論文を書きたかったのですが、私の力不足で、Mano (J Neurosurg Pediatr, 2013; Child Nerv Syst, 2014), Hanihara (World Neurosurg, 2017), 猿田(脳神経外科, in press)の4報告となりました。


東北大学からは柴原一陽(平成17年卒)を2016年4月から12月に一時的に送って頂いた後、2017年4月よりこちらに着任となりました。柴原には半年間トロントのSick Kids Hospitalへ留学してもらいました。現在は開頭からマイクロが終わるまで付きっきりで多い時には週3件のペースで手術しています。私が生涯で最も長い時間一緒に手術した人間となるはずです。また井上智夫(平成15年卒)に2020年1月から着任してもらうという、とんでもなくありがたい御沙汰を賜りました。脊椎脊髄外科を立ち上げるべく頑張っています。

脳卒中センターは、神経内科教授・西山和利先生と救急部教授(救命救急災害医療センター長)・浅利 靖先生との密な関連により成熟しました。血管内治療専門医の山本大輔が八面六臂の活躍をするとともに、同じく血管内治療専門医である仁木 淳・柴原一陽、さらに神経内科の先生方のご協力で、多くの脳梗塞急性期患者を有機的・効率的に治療し続けています。閉塞性脳血管障害に対する血管内手術数は、2016年度69例、2017年度60件、2018年度89件と神奈川県内の治療数トップランクを維持しています。さらに急性期脳梗塞に対する治療のみならず、破裂・未破裂脳動脈瘤・血管奇形・硬膜動静脈瘻等、血管内治療数は2014年以降飛躍的に増加し、その数が維持されています。

現在救急部専属として、小泉寛之が講師として主に脳血管障害の外科治療を、また上記のように山本大輔が血管内治療を担当し、両者ともに大活躍しています。二人が指導して若い人間と脳血管障害・頭部外傷の手術をしています。大学病院として頭部外傷・脳血管障害急性期に対して多数症例を治療していることは非常に稀であるとともに、重要です。少ない人数でこれを行えているのは救急部の先生方と密な関係を維持できているからです。感謝しております。

2018年2月から熊本大学から秀 拓一郎に准教授として着任してもらいました。北里柴三郎先生・隈部はもともと熊本の出身であり、何らかの縁があったものと思います。秀は温かく、またあるところでは決してくじけることのない「肥後もっこす」であります。何か問題があっても決して諦めることなく関係部署と何回もnegotiationして問題解決に向かってくれました。人間の持つ雰囲気・オーラは成人してからの教育では如何とも動かし難いものがあると思います。秀の持つこの温かいオーラにより、学生からの評価が高まり、入局者が増え、関連施設との共同作業が驚異的に順調になりました。

2018年10月より師田信人が診療准教授として、東京都立小児総合医療センターから着任しました。師田は小児神経外科領域における日本のトップであり、日本小児神経外科学会・日本小児神経学会・日本脊髄外科学会理事を歴任しています。小児神経外科の中ではキアリ奇形など頭蓋頸椎移行部の外科、腰仙部先天異常(二分脊椎など)の手術、脳深部・脳幹部の手術、水頭症・頭蓋内嚢胞性病変の神経内視鏡手術を得意としています。それに加えて手足痙縮に苦しむ脳性麻痺のこども達に対する機能的脊髄後根切断術・バクロフェン髄腔内投与療法も専門としています。人手不足で本人が希望するレベルまで積極的な治療を施行できていませんが、これまで北里大学病院にて充分な対応ができていなかった小児神経外科領域が、歩き始めたことは間違いありません。なお師田は8000m級の登山経験者で、日本登山医学会認定国際山岳医です(認定番号12)。2020年3月に退任後も非常勤としてほとんどこれまでと同じように勤務されています。週末には趣味(本職)である登山にもっと時間を使ってもらえたらと思っています。

科長である私は悪性脳腫瘍・小児脳腫瘍を専門としています。頭蓋内腫瘍摘出術は、2016年度98例、2017年度110例、2018年度106例であり、柴原一陽とともに日々精進しています。腫瘍摘出において電気生理学的マッピング・モニタリングは欠くことができません。講師の佐藤澄人は電気生理学スペシャリストで本当によくやってくれています。本来の持ち場は機能的脳神経外科で脳深部刺激なのですが、佐藤澄人のおかげでmaximum safe resectionが可能となっています。また小泉・山本と脳動静脈奇形の手術をするのは本当に楽しいです。生きている実感がします

2020年4月からの北里大学はどうなるでしょうか。北里大学卒業の二人の後期研修医(豊田茉梨子・百武佑理)が入局しました。また前述の秋田大学から短期研修に来てくれていた後期研修医2年目の猿田和貴子がこちらに入局しました。秋田大学医学部脳神経外科教授の清水宏明先生は私の同級生です。写真は昭和60年・東北大学医学部卒業半年前に蔵王で撮影したものです。35年前ですからね。お互いに若かったものです。この長い付き合いがあった上で、いろいろと相談した結果、猿田先生にはこちらに来てもらうことになりました。また病理部で研究していた女医の脳神経外科専門医(犬飼 円)が戻って来ました。神経病理・研究・脳神経外科臨床と非常に興味深い立ち位置を保った脳神経外科・女性医師に育ってほしいと願っています。

北里大学には何と7人もの女医さんが存在することになります。写真に写っている女性は全て脳神経外科医です。「北里JOY(女医)会」を結成した。全国の女医さんを集めてしまおうかという魂胆です。関口朋子・松本千尋は女性脳神経外科専門医として、結婚・出産といったそれぞれの生活体制に合わせて外来診療を頑張ってくれています。女性脳神経外科医師としてこの勤務方法は重要だと思います。なおもう一人女性医師ではないのですが、仁木 淳が子育て中で、病棟を持たずに外来と血管内治療を担当しているのも、北里ならではの勤務体制と強調させて頂きます。

そうそうこの写真の真ん中に写っているのは半田 肇です。後期研修2年目になりました。脳神経外科医として知らない人はいない京都大学教授であった半田 肇先生と同姓同名です。新入局の豊田・百武に囲まれて嬉しそうです。病棟で頑張っています!

書きたいことはまだ沢山あるのですが、今回はこの辺りで。退任まで残り7年なのですが、その時まで生きていたら、後半の7年間の報告をさせて下さい。






※この写真は覚醒下手術を必要とした患者さんがカメラマンで術前に病棟のカンファレンスルームで撮影してくれたものです。

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