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北里大学医学部脳神経外科

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隈部俊宏

卒業おめでとうございます。卒業のこの時期は関東では本格的な春を迎えるために、その溢れる光にも影響され、高揚感に包まれた素晴らしい気持ちで毎日を過ごせていると思います。
 研修医システムが開始される前には、これでいよいよ親の庇護から離れ自分一人で生きていくことになるのだと覚悟をする時期でした。と言いましても我々の頃は国家試験の発表は5月の連休明けでしたので、本当は医師とも言えないなんとも立場のない状態で、卒業後の休みもなく4月の上旬にはヒヨッコとして働き始めておりました。あらためて何もできないことを毎日ひしひしと感じたり、「同期のあいつはあんなこともできるようになった」「あいつは今度あの病院へ行けることになった」とひがんだりもしたものです。
 しかし朝から晩まで臨床と勉強に明け暮れていると、少しずつできることが増え、人の役に立つという実感が得られるようになりました。「ありがとう」と言ってもらえる喜びです。もしくは無言で認めてもらえる喜びです。別の言葉で言うと、自分の居場所を見つけ出すことができるようになっていった、必要としてもらえるようになった、ということでしょうか。
 もはや医学部を卒業して33年も経つ私ですから、今の若い人たちとは感覚の違いがあることは充分わかっているつもりです。家内からは昭和一桁の人間と呼ばれていますから。
 私が入局した東北大学の脳神経外科に伝わる古い歌を紹介したいと思います。この歌は高倉健さんの「網走番外地」がヒットした時代で、その歌を借りて、当時の先生達が日々の生活哀歓を表したものです。東北大学の脳神経外科があった場所が「長町」という仙台の地にあったため、「長町番外地」と名付けられています。

1.  春の 春の夜も更け はや○年 書を引き 鈎引き 徹夜して 男一匹 生きる道 その名も長町番外地

2.  キラリ キラリ 光ったメスの先 燃えるこの眼は 頭蓋内 敵は腫瘍か アブセスか 行くぞ 敵陣 殴り込み

3.  今日も 今日も入るか オペルーム 朝に入って 徹夜して 今はつらいが いつの日か 華が咲くだろ 学の華

4.  疲れ 疲れ この身を朝帰り わかっておくれ 奥方よ かけてやりたや 優さ言葉 今のおいらじゃ ままならぬ

 ここに書いてあることは理解できないことばかりかもしれません。しかし、この歌詞を読んでいただいた方々の中で、ほんの数人、一部でも感じてもらえる部分があったら嬉しいです。
 物事、全てがうまく行くことはないと思います。八方美人なんてあり得ないのです。一つを得るということは、一つ、もしくは多くを失うことかもしれません。生きていくということは当然の権利として得られているものではなく、奇跡の積み重ねです。その中で何か一つでも握りとるために、血の滲むような努力をすることも必要ではないでしょうか。

                             

脳神経外科・主任教授 隈部俊宏


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