
北里大学医学部では、人の生命の尊厳を学び、自ら考え模索する人間性豊かな医師を育てます。このために基礎医学教育では基本となる人の体の構造や機能はもちろん、医学の歴史や医の倫理を学ぶ「医学原論」を置き、臓器・機能別に系統的に学ぶことのできる「器官系別総合教育」から高学年での豊富な臨床実習教育まで、ユニークな科目構成と有機的な関連づけによる体系的、総合的教育を行っています。
教育指針

教育委員長 岡本 牧人
我が国の医学教育は大きな改革の流れの中にあります。一つは各科の壁を取り払った器官系別講義への移行(これは北里大学医学部が開講当時より推進してきたもので、40年を経て全国でも取り入れられるようになったものです)、一つは知識伝授型から、思考過程学習型と技能態度伝授型への移行です。医学部で学ばなければならない知識は想像を絶するほどに多いので、すべてを丸暗記していくことは不可能です。そこで、テュートリアル教育に代表される問題を解決する手段や思考過程を学ぶ教育を取り入れています。また、医学知識だけではなく、実際に診療をするための技術や態度を教育しています。患者さんとは何か、医療とは何かを問う医学原論や臨床実習入門という科目です。患者さんの立場から、そんなことを学生がするの?という質問に、それだけのことができる学生ですと自らも答えられる学生を育てたいと考えています。そんな学生を望んでいます。

賞
●北里賞
故北里柴三郎博士の偉業にちなみ、各学部の最高学年の学生で、学業成績ならびに人物が優秀な者を卒業に際して表彰する。
●北島賞
故北島多一博士の偉業にちなみ、本大学の各学部の最高学年を除く各学年次の在学生で、その年度の学業成績ならびに人物が優秀な者を表彰する。
医師国家試験合格率
医師として活躍するためには、医師国家試験に合格することが必要不可欠です。本学では国家試験合格の見通しがたつまで個人指導を徹底。その結果、平成21年4月現在までに累計3,868名が合格しており、全卒業生の合格率は、99.4%という高実績を誇ります。
卒後教育病院
よりよき医師へと成長する本学独白の卒後教育。

北里大学医学部の医師養成プログラムは、6年間の勉学・実習では終わりません。本学部では各科ごとに卒後教育計画が組まれており、一人前の医師への自立までをしっかりとサポートしています。卒業生の大半は、北里大学病院、北里大学東病院で、2年間の研修医師として教育を受けた後、ひきつづき後期研修を受けるか、または全国各地の連携病院へ一定期間派遣され技術を磨き、経験を積みます。連携病院の教育内容は、大学病院各科の卒後教育プログラムと密接に連携しており、医療最前線での経験は医師としての血となり肉となり骨となるでしょう。
北里大学病院長 藤井 清孝
北里大学病院では、基本理念として(1)患者中心の医療(2)高度医療(3)地域社会医療への貢献(4)教育・研究(5)国際学術交流の推進という5つのテーマを掲げています。特に医学教育においては、ベッドサイド教育にウェイトを置き、5・6年次の臨床実習を中心にその役割を担っています。また、卒後教育においても、日本全国に先駆け、アメリカ型の充実した教育システムを導入。卒業後は2年間の研修医、次に3年ないし4年間の病棟医を経験、そして7年間の研究員という段階別トレーニングシステムによって、知識・技術に優れ、人間性豊かな医師の養成に努めています。
北里大学東病院長 菊池 史郎
大学病院と東病院は、比較的近くにあり、両病院で卒前ならびに卒後教育を行っています。大学病院が急性期医療を担い、救命救急センターを有する特定機能病院であるのに対し、東病院は消化器疾患、神経・運動器疾患の3センターで構成されています。すなわち従来の診療科に拘らず、お互いの特徴を発揮できるよう、複数科をセンターとして運営することで連携の良い医療を展開しようとするものです。この精神は卒後教育にも生かされ、各科ローテーションなどを通じ、幅広い知識と技術を持った医師の育成を目指しています。
6年間の履修内容・卒後教育・大学院
あなたが医師になるための、これから6年間を大切にしたい。北里大学は、そう考えます。
6年間で学べることは、限られています。だからこそ、効果的に学べるカリキュラムが必要なのです。要領良く学ぶマニュアル的な教育ではなく、何よりも学生自身の学ぶ意欲を大切にしたい。学生一人ひとりの、医のこころを育ててゆきたい。幾度かの改変を重ね、完成を目指す北里式カリキュラムを、あなたの目で確かめてください。
本学のカリキュラムの大きな特長は、一般教養課程と専門課程の区別をなくし、体系的に構成した6年一貫制です。中でも特筆すべきは、本学独自の「器官系別総合教育」でしょう。従来型の科目問ならびに基礎・臨床の間の垣根を取り払い、器官系列に講義を有機的かつ総合的に編成しました。また、膨大な知識の詰め込み教育に偏らないよう、時間的な配分にも注目。ゆとりをもって学習できるように、試験の直前には自習週間を、また年度末にはフレックス週間を設けました。フレックス週間は、各科から出されたテーマを学生が自主的に選択し、研究室の機能をフル活用しながら最先端の医学に触れるアドバンストコースや、通常の授業時間だけで内容を消化しきれなかった学生向けの補講、学生医学論文のための研究など、学生が自由に活用できる期間として設けられています。また、医師をめざすという自覚と熱意を大切に育むという視点から、入学して間もない時期に体験当直実習を実施。1年次から専門科目の講義をスタートさせるなど、北里ならではの取り組みも随所に見られます。
器官別総合教育
従来、科目ごとに独立していた基礎医学の教育法を抜本的に改めたのが、北里式とも呼ばれる器官系別総合教育。正常な機能と病因・病態を中心に、臨床実習前の素地として、必要かつ基本的な基礎医学上の知識を総合的に理解させるのが目的。
1年
医師への出発点で、基礎を、知識を、人間を磨く。
医師をめざす出発点となる1年次。本学では、専門知識や技術の習得のみに偏ることなく、広い教養と見識を培い、医師であると同時に成熟した一人の人間として成長するための1年間と位置づけています。そのため、カリキュラム編成は自然科学系科目などの正課カリキュラムの他、自由選択科目として教養演習科目などで幅広い分野にわたる知識を身につけることに主眼をおいています。また、第一線の医学に触れる医学セミナー、医療現場をじかに体験する「病院体験当直」など、北里ならではのプログラムもあり、生命をあずかる医師としての自覚を、早い時期から確立することをめざしています。
医師への出発点で、基礎を、知識を、人間を磨く。医師をめざす出発点となる1年次。本学では、専門知識や技術の習得のみに偏ることなく、’広い教養と見識を培い、医師であると同時に成熟した一人の人間として成長するための1年間と位置づけています。そのため、カリキュラム編成は自然科学系科目などの正課カリキュラムの他、自由選択科目として教養演習科目などで幅広い分野にわたる知識を身につけることに主眼をおいています。また、第一線の医学に触れる医学セミナー、医療現場をじかに体験する「病院体験当直」など、北里ならではのプログラムもあり、生命をあずかる医師としての自覚を、早い時期から確立することをめざしています。
2年
暗記ではなく、理解すること。問題を論理的に解決する力を培う。
2年次は教養科目から一歩進んだ理系の専門基礎科目を中心に編成されています。化学系では生化学、分子生物学、生物物理化学。生物系では解剖学、組織学、生理学。物理系では放射物理学。すべてが医学に直接結びつく内容の展開になっており、第二外国語を除くすべての科目は必修です。それぞれが、いずれ臨床医学の場で遭遇するさまざまな問題を論理的に解決する力を培う基礎科目とも言えるでしょう。なかでも解剖学は、3年次以降の医学基礎系科目の学習に大きな影響を与えると共に、生命の尊厳と、医師としての義務と責任を感じる重要な科目です。
3年
臨床医学への新しいステップ。実習は、知識を経験に変える。
3年次から、いよいよ本学独白の新しい医学教育システムである「器官系別総合教育」がスタートします。「器官系別総合教育」は、基礎医学科目の各論の内容を器官系ごとに再編成し、臨床医学的立場からの視点を加えた、基礎医学と臨床医学の橋渡しとなる内容。3年次と4年次の2年間をかけてじっくりと修得します。3年次で学ぶ基礎医学科目は、この「器官系別総合教育」と基礎医学の総論を二つの大きな柱として、実習を効果的に組み込みながら進められます。5〜6年次のベッドサイド教育に向けた準備は、3年次から始まっているというわけです。
4年
臨床実習への土台をつくる、理論学習のラストスパート。
6年教育の折り返しとなる4年次は、理論学習の総仕上げの時期です。3年次からの器官系別総合教育の残り4科目を履修した上で、いよいよ臨床医に必要な基礎知識を習得するための、臨床医学の診断学と各論の講義が始まります。臨床医学は、基礎医学の総論、実習、器官系別総合教育を通じて学んできたすべての知識の上に成り立ってるもので、5〜6年次の臨床実習を成功させるか否かは、臨床医学の診断学と各論理解度にかかっています。そのため、4年次後期からの修得すべき知識の量は膨大です。しかし、本学年での努力が将来の医師としての土台となることは間違いないでしょう。
5年・6年
国家試験対策よりも、すべては有能な医師を育てるために。
平成8年度のカリキュラム改訂では、5・6年の2年間を一体化。臨床実習の期間を1年半とし、内容をより充実させました。その後、6年の1O月からは、集中講義や総合試験を実施します。医学教育では、専門知識や技能だけでなく、常に患者の立場に立って病を癒す精神を養うことが大切です。臨床実習では、患者の疾患のみならず、心理的・社会的背景を理解し、適正で行き届いた診療を心がけることを特に重視。生命の尊厳、人間愛、医師としての使命感をも肌で感じ、机上の学問では得られない生きた知識と技術を体得できる、貴重な経験となるでしょう。
1年半の臨床実習。経験が、成長の糧になる。
医療現場の厳しさ、命をあずかる緊張感、医療という仕事の醍醐味を目の当たりにするベッドサイド。臨床実習では、科目を2つのグループに分類。まず臨床医学の根幹となるA群科目を学び、その後B群科目に移るというシステムをとっています。A群科目では、特に基本である内科学を重視。合計16週間にわたって内科の各病棟で臨床実習を行います。その後、A群各科を各4週間ずつ、7〜8人の小グループでローテーション。さらに、B群科目の診断学及び各論を学んだ後は、2週間ずつB群各科の病棟をローテーションします。外来では、指導医のもとで実際に患者の予診をとり、カルテに記載することからスタート。これに対し、指導医は診断確定までのプロセスを学生に詳しく説明します。病棟では、入院患者を受け持ちます。指導医の回診では、患者の病状や診断、治療についての討論が行われ、それまでに学んだ理論と現場で学んだ知識が有機的につながり、自分の中に蓄積されていくことでしょう。手術室では基本的手技を実習するため、執刀医の手技を見学したり、場合により助手を務めることもあります。さらに本学では、目の前の課題だけでなく、地域医療の問題や、医療の国際協力についても目を向けられるよう指導することも大切にしています。
卒後教育
研修医のための教育プログラムも充実。
医学部を卒業後、国家試験をパスした人の大半は、北里大学病院および北里大学東病院の希望する科で、2年間の初期研修を受けます。研修プログラムはすべて大学病院卒後教育委員会が承認。具体的な内容は、各科のプログラム指導者によって作成されます。初期研修終了時には、卒後教育委員会の最終評価をもとに、病院長が修了証書を授与。この後、さらに研修を続ける者は、引き続き後期研修医(病棟医)として3〜4年の教育を受けます。後期研修では、卒後教育計画に基づいた連携病院に一定期間派遣されることも。この他、院内に病棟医宿舎を設けるなど、卒後教育のバックアップ体制も万全です。
大学院
研究も教育も、その成果はすべて医療にフィードバックしていきたい。
医療系研究科は、従来の医学研究科博士課程に代わって平成10年に開設。高度専門技術者の養成を目的のひとつとする医科学専攻修士課程と、医学部卒業生が進学する医学専攻博士課程で構成されています。医学専攻博士課程の目的は、基礎医学と臨床医学の調和的発展と充実を図り、研究者・教育者を養成することです。そのため、基礎・臨床の医科学に医療人間科学分野を加え、医科学と人間学の両面から研究・教育にアプローチ。国際レベルの研究をめざしてプロジェクト方式を採用し、研究対象によって基礎医学・臨床医学のワクを越えて共同研究が行えるよう配慮しました。